トマトの歴史は、8世紀の初頭メキシコのアステカ族がアンデス山脈からもたらされた種を栽培したことから始まるとされています。
その後1519年メキシコへ上陸したスペイン人エルナン・コルテスがその種を持ち帰り、ヨーロッパに広がりました。最初は毒だと信じられ観賞用でしたが、イタリアの貧困層で食用にしようする人が現れ、200年もの開発を経て一般的に食用となったのは18世紀のことで、地中海地域で好まれるようになりました。
18世紀末にはイタリアで多彩なトマト料理が生まれ重宝されています。北アメリカではその後も食用として認知されていませんでしたが、フロリダ方面からのスペイン系入植者やカリブ海経由の黒人奴隷が、トマトの食習慣をゆっくりと広めていったとされています。日本には17世紀の半ば、江戸時代の寛文年間頃に長崎に伝わったのが最初とされ、四代将軍徳川家綱のお抱え絵師であった狩野探幽が1668年に「唐なすび」と称して描いています。
観賞用として珍重され食用になったのは明治以降で、西洋野菜と共に改めてヨーロッパやアメリカから導入されました。日本人の味覚に合った品種の育成が盛んになったのは昭和に入ってからです。